[レビュー]"SUUNTO"のスマートウォッチを使ってみたら! 屋外でAMOLEDディスプレイが見やすい、使い慣れるとリューズの操作も心地よい

ここ数年で、スマートウォッチの市場は、飽和状態になっているように感じる。出始めの頃は、アクティビティの機能をはじめ、歩数、心拍などが図れることに、テンションが爆上がりだったが、次第に交通系ICカードとの連携や、PayPayなどのスマート決済サービスに対応するなど、スマートウォッチで、移動から支払いまですべてに対応するモデルが、もはや当たり前になってきた。そして、今やスマートウォッチではできないことはないと思われるほど、その進化のスピードは速く、驚くばかりだ。今回、試したモデルは、ランニングをする人の多くから支持されている"SUUNTO"の製品を使ってみることにした。なかでも、昨年発売されたばかりのモデルSというスポーツに特化したモデルを使用してみた。スマートウォッチのアクティビティは、もはや当たり前の機能になっているので、あえてスポーツに使用するのではなく、日ごろから身に着けることで、何気なくデータを確認する習慣が身に付くようなスマートウォッチのあり方について、お伝えできればと思う。それでは、本編をどうぞ!

目次

まずは、SUUNTOについて

SUUNTOは、フィンランドの冒険家であるトーマス・ヴォネロンによって、80年以上も前に創設された、歴史ある企業になる。1936年に、それまでのコンパスに不満をいだいていたトーマス・ヴォネロンは、安定性と精度の高い針を使用した液体封入式コンパスを発明。この発明が、フィールドコンパスに一大革命をもたらしたとされている。1965年には、英国出身のスポーツダイバーが、SUUNTOのコンパスは水中の中でも計測することを発見すると、同社初のダイビングコンパス「SK-4」が誕生。その後、1998年に高度計、気圧計、コンパス機能を備えた「SUUNTO VECTOR」を発売。より安全な上高地登山を可能にするなど、登山家たちに最も愛用されたスポーツウォッチといっても過言ではないモデルとなっている。2018年には、これまで培ってきたノウハウを活かしたアウトドアスポーツ用スマートウォッチ「SUUNTO 3 Fitness」を展開。2023年には、パフォーマンスウォッチ「SUUNTO RACE」を発売した。発売からわずか7カ月間で、地球151周分(約604万キロ)相当を走り、富士山7500個分相当(2万8320㎞)を登り、約200万時間のアクティビティを世界中のユーザーと経験するという驚異的な記録を打ち立てている。

今回レビューする「SUUNTO RACE S」について

「SUUNTO RACE S」は、2024年7月に発売されたばかりの製品で、2023年に発売した「SUUNTO RACE」モデルの後継モデルとなる製品だ。トレーニングからHRV(心拍変動)測定に基づいた回復サポート、睡眠や健康管理などの日常生活のトラッキングまで幅広くカバーするスマートウォッチとなっている。無料のオンラインマップや最長120時間のGPSトラッキング、95種類以上のスポーツモード、用途に合わせて追加できる"SUUNTO PLUS"機能を搭載したモデルとなる。

従来モデルの「RACE」と比べて約14%も薄くなりその厚さは、11.4mmとなっている。ボディは、27%も軽量化され、全体的にスリム化され、その重さは、わずか60gと軽量化が図られている。長時間の使用でも、装着していることを忘れてしまうほどの軽さを実現している。

新モデルの「SUUNTO RACE S」には、全世界無料で使えるオフラインアウトドアマップが搭載。新しくなったマップは、スントアプリの高度なルートナビゲーションをベースにしており、アプリで地図をダウンロードし、本体に同期させれば、オフライン状態でも地図を確認しながらアクティビティ時に使うことができる。あらかじめルート設定をおこなっておけば、地図を見ながらルートに沿ったコースをわかりやすくガイドもしてくれえる。

もちろん、日常生活のトラッキングもしっかりとおこなってくれる。歩数、心拍数、睡眠、月経サイクル周期のほか、心拍変動(HRV)に基づき、トレーニング負荷、進捗状況、回復状況などをフィードバックしてくれる。

なるほど、一通り製品の説明を読んでみたが、スポーツだけでなく、日常生活においてや、健康にかかわるような使い方もできることがわかった。さて次からは、実際に使用してみた際の使い勝手をお伝えしていきます。

実際に使用してみる

まずは、送られてきた箱を開けると、本体とベルト部分は別々になっており、ベルトを本体に取り付けるところから始める。ベルトの本体を取り付ける際、ベルト側に爪があるので、その爪を操作して取り付ける。とても簡単に取り付けが完了する。本体の右側面には、中央部分にリューズ型の操作部とその両隣に、ボタンが設置されている。操作はこの3つのボタンで行うようだ。電源を入れると、画面が浮かび上がってくる。AMOLED(有機EL)の画面ということもあり、とてもキレイな表示が印象的だ。本体の電源を入れることができたので、次は、スマートフォンの設定をおこなう。

スマートフォンとの連携においては、SUUNTOのアプリをダウンロードする必要があり、使用しているスマートフォンがAndroidであれば、Googleストアからアプリを検索しインストールをおこなう。インストールが完了したら、今度はアプリを立ち上げ、自分自身の情報を入力していく、性別、生年月日、身長、体重など。次に、アプリ上で、接続するデバイスを見つけ出し、接続を完了させる。接続は、Bluetoothで接続するので、スマートフォンの接続設定で、「SUUNT RACE S」を見つけ出し、接続をおこなう。これで、実際にデータを取得できるようにするための準備は、すべて整ったことになる。実際に使用できるまでの一連の流れをまとめてみたのだが、こうみると思いのほか、簡単に設定することが、それも説明書を読むことなくおこなえたのは、結構凄いことでそれだけ使いやすさを実感することができた。

スマートフォンのアプリと連携
自分のデータを入力していく
身長、体重、性別などを入力する

地図データをダウンロード

使用できる準備が整ったので、はじめにアプリ上で地図のダウンロードをおこなってみることにした。今回のモデルでは、データさえダウンロードしておけば、オフラインでも地図データを使用することができるというのが特徴としてもあげられていたので、試してみることにした。

地図データを使用できるようにするまでの流れはこうだ。まずアプリを開いて、ウォッチタブ もしくは、地図タブを開く。次に、"近くの場所"あるいは、検索バーを使って、ダウンロードしたいエリアを入力する。エリアの詳細ページで、欲しい地図情報の地域をセレクトしてダウンロードをタップすれば、OKだ。後は、ダウンロードしたマップを実行させれば、ウォッチ側にも表示されるようになる。地図が表示されたら、地図画面の拡大縮小は、リューズをクルクルと回せればおこなえる。もちろん、アプリ上で事前にルートを設定しておくことで、そのデータを表示させることもできる。

スマートフォンとウォッチを連携させる
必要な地域の地図をダウンロードする
地図をウォッチと連携させる

ここら辺の機能は、一般的なスマートウッチでも、ほぼほぼ一緒の機能をもちあわせており、あえて特別な印象を受けたわけではないのだが、やはり何といっても、オフラインでも事前に地図データをダウンロードさえしておけば、活用することができるというのは、迷子になりやす筆者にとってとてもありがたい機能だと感じた。アプリからダウンロードできる地図データは、世界中の地図データをダウンロードできるようになっている。今回は、日本をセレクトし、後は、関東、東北、関西など、選んでいくだけでよく、とても簡単に設定することができた。

肝心の地図は、ウォッチ側で確認すると、名称が入っていなのが気にはなるものの、地図自体は、とても詳細に描かれているから、コンパスを確認すれば、なんとなく自分自身がどちらに向かって動いているのかが分かるようになっていた。地図の拡大縮小が容易にできるので、名称など、表示させられるデータをより詳細にできたら、ウォッチだけで完結させられるように思った。とはいえ、例えば、ランニングをするコースを事前にアプリ上で決めておき、そのコースとなるデータをウォッチと共有しておけば、今、自分がどの辺りを走っているのかということが、ウォッチ上だけで分かるのは便利だと感じた。土地勘のある場所で、地図データを使用することは、ほとんどないと思うが、初めての場所であれば、このオフライン地図表示機能は、とても便利に使えるだろう。

ウォッチに地図データを
落とし込んでいる最中
正常にダウンロードされたことを
知らせてくれる
実際の画面、側面のリューズを
回転させると拡大縮小ができる

ちなみに、アプリ上で、マップを表示させると、かなり詳細な地図を表示させることができるので、土地感のない場所でも、ルートを作成させることは意外と簡単に行うことができそうだった、2Dの画面表示のほか、3D表示もさせられるが、この3D表示は、建物が立体的に表示されていないので、ちょっと見ずらいかもしれない。ただ、常にアプリ画面の右上には、コンパスが表示されているので、3D表示の方が見やすいと感じる人も居るかもしれない。なお、自分が居る位置については、どっちに向いているのかを含めて、分かりやすく表示してくれているので、とても使いやすかった。Googleマップで、ルート案内をしている感覚で使えるのは、迷子になりやすい人にとっては、結構重宝するかもしれない。

ちなみに、アクティビティを起動させておくと、移動した軌跡を地図データに残してくれる上、移動した距離から速度、心拍数、外気温、湿度、上昇距離、下降距離、消費カロリー、速度など、かなり詳細なデータをアプリ上に残してくれる。何月何日、どこを移動したのかなど、記録をしっかりと残しておくことができるあたりは、ランニングをする人から絶大なる支持を得ている理由が分かるような気がした。

画面表示がとてもキレイ

「SUUNT RACE S」の画面は、AMOLED(有機EL)を使用しているというだけあって、とてもキレイに表示してくれる。画面の輝度を調整することができるとはいえ、屋外でもかなり見やすく表示してくれるので、ウォッチを顔に近づけなくてもかなりハッキリとデータを見ることができる。ちなみに輝度調整は、設定画面からおこなうことが可能で、最高輝度にすると、明るくて見やすくはなるが、バッテリーの消費も大きくなるので、その辺りは、使用時間との兼ね合いで設定することをオススメする。また、カスタマイズという項目が設けられており、ウォッチフェイスを容易に変更することもできる。アプリ上からウォッチフェイスをダウンローすることもできるので、好みに合ったウォッチフェイスを設定すれば、より愛着を持って使用できそうな印象を受けた。

屋外でもとても見やすい画面
明るさ調整が可能となっている
ウォッチフェイスも変更可能だ

筆者お気に入りは、睡眠状態の確認

今回、しばらく使用していくなかで、お気入りの機能を見つけることができた。それは、睡眠データの可視化についてだ。これまで、いくつものスマートウォッチで試みてきたが、ウォッチ上でも、アプリ上でも簡単にそのデータを確認することができたのが、本製品だったのだ。正確には、他の製品も確認することはできていたのだが、設定が難しかったり、可視化できることはわかっていても、どうやってその画面にいけば見ることができるのかなど、今一使いこなせないまま、あきらめていたところがあった。しかしながら、今回使用した「SUUNTO RACE S」は、たまたまだとは思うのだが、何気なく直感任せでウォッチを操作していたら、すんなり睡眠データが出てきたのだ。何気なく操作していただけなのだが、それで筆者は、こう思ってしまった。何気なく操作していて、見たいデータを簡単に見ることができたのは、恐らくこのスマートウォッチと相性がいいのかもしれないと。なので、本当にたまたまとはいえ、使いやすいことに変わりはなく、結果、睡眠データを毎日確認することが習慣化してしまっている。

睡眠時の状態は、スマートフォンだけでなく、ウォッチ上でもわかりやすく表示してくれる
睡眠時間や睡眠時の状態を細かく確認することができる

装着時のベルトは、慣れると使いやすい

装着ベルトは、一般的な時計と違く、ボタンを穴に差し込むような構造になっており、ワンタッチで装着することができるようになっている。一般的な腕時計は、長さの調整用の輪っかをくぐられたら、余ったベルト部分を、1個ないしは2個の輪っかに通しておくだけだと思うが、本製品の場合、調整用の輪っかをくぐられたら、センタにクリップのような金具が取り付けられているので、その金具を空いた穴に押し込むだけと、とても簡単になっている。それも、余ったベルト部分が、外向きにペロンとならないので、とてもスマートな見た目が好印象だ。新品状態だと、穴が馴染んでいないので、押し込むのにほんの少し、手間取るかもしれないが、何回か使用しているうちに、すぐに馴染み始めるので、馴染んでしま柄は、スッと押し込むことができてとても楽に装着することができる。これも密かに特筆すべき部分だと感じている。

まとめ

今回、SUUNTOのスマートウォッチを初めて使用してみたのだが、これまで、いろいろなスマートウォッチを使ってきた筆者にとって、当初さほど興味の惹かれる製品ではなかったというのが正直なところだった。

しかし、いざ使用してみると、歴史のあるメーカーだということもあるからなのか、かなり使いやすいモデルであるということがわかった。なにより、たまたまなのだが、直感に頼って操作していたところ、筆者の睡眠状態をデータで簡単に確認することができたことが、とてもお気に入りのモデルとなることになった。

スマートウォッチがいろいろと出そろっている今、アクティビティなどは、どのモデルを使用しても、しっかりとデータを採ることができるようになってる。しかし、いろいろな機能が搭載されてはいるものの、そのうちのどれだけの機能を使いこなせているのかは、正直疑問に感じる部分である。とすると、何で製品をセレクトするのか、操作性?デザイン?、それとも値段?人それぞれ選ぶポイントがあると思うが、実際に使用してみないとわからないというのが正直なところだ。筆者も、長年(7年近く)スマートウォッチを使用してきているが、自転車(ロードバイク)に乗る際は、このウォッチ、日常生活ではこのウォッチ、クルマを運転する時はあのウォッチといった具合で使い分けていたのだが、本製品だったら、この1本の製品で事足りるかもしれない、そう感じることができた。

今回は、スポーツに使用したのではなく、日常生活に採り入れて使用してみたのだが、スポーツで使用する際は、Stravaにも対応しているので、アスリートの人が使用しても、十分な情報を得ることができそうだ。そういう意味にでは、オールマイティに使える、スポーツモデルといったところだろう。

いかがだったでしょうか、「SUUNT RACE S」。実際に使用してみると、スポーツモデルでありながら、日常生活にも十分使えることがわかったのは、目からうろこでした。改めて先入観でモノを判断するのは危険だということを学ぶことができました。

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