〈レビュー〉“ながら聴き”ができるオープンイヤー型イヤホンをチェック!装着感を感じさせない軽さでサウンドを楽しめるのが魅力だった
今回試してみた製品は、GLIDiC(グライディック)が2023年12月に発売したオープンイヤー型の完全ワイヤレスイヤホン「GLIDiC HF-6000」。オープンイヤー型は、耳をふさがないスタイルが特徴で、密閉感がなく快適性に優れているので、仕事や会話、運動をしながら音楽を楽しむ、周囲の環境音にも気を配るを同時に実現する新しいジャンルとして注目を集めている。いつも密閉型イヤホンを使い慣れているけど、“ながら聴き”ができるオープンイヤー型イヤホンも気になる方に、この製品のサウンド傾向や使い勝手をお伝えしていきたいと思う。
GLIDiCについて
GLIDiCは、ソフトバンクセレクションから独立してできたモバイルのためのオーディオブランド。最新のスマートフォンに合わせた操作性の向上・新しい技術の採用など、モバイルのためのオーディオブランドだからこそできる使いやすくて、ライフスタイルに寄り添うようデザインされた製品が多い。これまでも「VGP」「グッドデザイン賞」などの受賞製品も多く、モバイルを知り尽くしたプロダクト開発を追求し評価され、「動くひとの、音」をキャッチワードに掲げているジャパン・ブランド。
ながら聴きをかなえる、「オープンイヤー型イヤホン」
ほんの数年前まで、イヤホンの二大スタイルといえば「インイヤー型/インナーイヤー型」と「カナル型」だった。例えていうなら「AirPodsみたいなインイヤー型/インナーイヤー型」と「AirPods Proみたいなカナル型」がイヤホンの二大スタイル。そこへ登場したのが、新しい「第三のスタイル」、「オープンイヤー型イヤホン」。今回レビューする「GLIDiC HF-6000」になる。
従来のイヤホンはカナル型であれば耳穴の中までキッチリと、インイヤー型/インナーイヤー型であっても耳穴の入口付近はふさいでしまう状態で、どちらのタイプでも、周囲の音は聴こえにくくなるのが一般的。音楽に集中するためには都合がよいのだが、都合の悪い場面もある。「自宅で音楽を聴きながらの作業中でも周囲音には注意したい」とか、「ウォーキング中は周囲の自動車などの音も聴こえたほうが安心」などでのシーンだ。そのニーズをかなえるべく登場したのが、耳をふさがず周囲の音を素通ししてくれる「オープンイヤー型イヤホン」。外音取り込み機能など通さずリアルな音が聞こえる! 「ながら聴き」を重視しているユーザーからは歓迎されているジャンルだ。
「GLIDiC HF-6000」の特徴
周囲の音が聞き取れるオープンイヤー型形状。小型で、片耳約6.5gと軽量で、フィット感も耳のカーブラインあわせたやわらかいイヤーフックのおかげで自然にフィットする。長時間の利用でも耳への負担が少なく快適な装着感を実現する。指向性の高い独自の構造設計で、オープン型にも関わらず周囲へ音漏れが少なくおさえられている。ドライバーユニットには、ダイナミック型12mmを採用し、サウンド面でも音量による聴こえ方のバランスが最適化され、小音量でも自然で豊かな音をバランスよく再現する。通話使用時も、左右2個ずつのマイクで周囲の騒音を低減し、自分が話す声を相手にクリアな声で伝えることができる。
Bluetooth接続もマルチポイントに対応し、テレワーク時のスマホとPCなど、2台のデバイスと同時接続ができる。PCで音楽を聴きながら、スマホの着信時にそのままイヤホンで通話が可能ということだ。低遅延モードも用意され、動画やゲームなどの音声と映像のズレを低減してくれるのもポイント。本体はIPX4で生活防水仕様を備えており、さまざまな方向からの水の飛沫から守ってくれる。衛生面でも、IPX4であれば汚れなどが気になったら、シートでのふきとり程度なら問題はない。
少し離れたスピーカーから音を聴いているよう
さっそく、聴いてみよう。音質についてはヴォーカルや弦楽器がハリよく伸びやかに聴こえ、中高音域が得意。オープン型イヤホンの性質上、仕方がないことだが、低音域の表現は得意ではないようだ。低域もそれなりに再現はされているものの、やはりインイヤー型/インナーイヤー型やカナル型と比較すると物足りなさは否めない。音量を上げたり、イコライジングで補正できればよいのだが、今のところは専用のアプリなども用意されないので、補正せずに使い続けるしかない。低音については、手で耳を覆うと戻ってくるので、オープンイヤー型イヤホンの改善点なのかなと感じた。一方、低域が強調されていない音楽やradikoアプリでラジオ放送を楽しむ方には、少し離れてスピーカーから出る音を聴いているように聞くことができるので親しみやすいかもしれない。屋外使用では、周囲の環境音が聴こえることを考えればしかたが無いことだが、室内で聴いていた音量では足りずに、音量を上げてしまうシーンもあった。音量を上げた時の音漏れは、思いのほか少なく良好で安心できた。
オープンイヤー型イヤホンの装着スタイルには少し慣れも必要
コンパクトでふわりとした軽い装着感で、長時間のながら聴きイヤホンをお探しの方にはピッタリ。しっかりと耳穴までふさがないのが特徴だから、イヤホンが耳穴に固定されず、浮いているようなかんじになる。オープンイヤー型イヤホンの耳穴にかぶせるように装着するスタイルには少し慣れも必要かもしれない。軽量で装着していることが気にならないぶん、頭を激しく動かすなどの動きをすると、少々ズレやすいので注意が必要だ。
操作もシンプルでわかりやすく、バッテリー性能も良好
タッチ操作もシンプルで戸惑うことはない。基本操作には、問題もなく、タッチ感度も良好。イヤホン本体の防水性能はIPX4を備えているので汗や雨、濡れた手で触れても大丈夫だ。少し残念なのは、音量コントロールが本機からはできないので、変更はデバイス本体から行うという点で、今後改善されることを期待したい。イヤホンが収納されるケースも小ぶりでコンパクト。充電は、USB type C端子から行い、イヤホン単体使用で7.5時間、ケースでの充電をあわせて29時間ので長時間再生が可能。さらに、10分間の充電で約2時間の使用ができる急速充電にも対応している。
Bluetooth接続は遅延もほぼなく快適
Bluetooth5.3に準拠し、対応コーデックはSBCとAAC。低遅延モードおかげで、動画やゲームなどの音声と映像のズレもおさえられ、遅延もほぼ感じることなく快適に楽しめる。また、本機はマルチポイント対応だから、Bluetooth接続を切って再接続して切り替える必要はない。ペアリングさえ完了していれば、PCでイヤホンを使用中に、スマートフォンへ電話があったとしても、切替えだけで済む。
モノコト的まとめ
使用シーンにあわせてイヤホンを選ぶなら、オープンイヤー型イヤホンはアリ!
イヤホンも使用シーンに合わせて使い分ける時代になった。音楽に集中したいとか、イヤホンを使用してノイズの少ない環境が欲しいのなら、イヤホンを使い分けたりするのもイヤホン選びの楽しいところだ。オープンイヤー型イヤホンは、周囲音の確認や、近くにいる人に話しかけられても自然に接することができる新しいジャンル。イヤホンからのサウンドは、遠くで鳴っているスピーカーの音を聴くようなイメージが近い。
自然なリスニングスタイルで「ながら聴き」を可能にした、「GLIDIC HF-6000」は、ボーカルを主とした音楽が得意で、低音域の再現も悪くないように感じた。何かをしながら音楽を楽しむだけでなく、周囲の音に気を配るシーンは思いのほか多い。屋内での使用や、のんびり音楽を楽しむなら本機はとても魅力的。個人的に100点満点で70点。本体で音量コントロール、専用アプリが提供されイコライジングができるようになれば、本機の魅力はさらに広がるだろう。ふわりとした軽い装着感と「ながら聴き」を体験して確かめてほしい。
●GLIDiC公式サイト:GLIDiC HF-6000製品ページ