〈レビュー〉シンプルなスタイルなのに音がいい!このオープン型イヤホンは出来が良すぎる気がする

今回試してみた製品は、NTTソノリティが2023年11月に発売した「耳スピ」シリーズの「nwm (ヌーム) MBN001」というモデルで、左右一体型ネックバンドスタイルが特徴のオープン型イヤホンになる。「nwm MBN001」は、どんなオープン型イヤホンなのか、着け心地だったり、音質面などについて実際に使ってみた感想をお伝えしたいと思う。

目次

NTT sonorityについて

NTTソノリティは、最先端の音響信号処理技術を用いて音響関連事業を行う会社として2021年に設立。独自のPSZ(パーソナライズドサウンドゾーン)技術(特許出願済)をはじめ、インテリジェントマイク技術、アクティブノイズキャンセリング技術などを組み合わせながら、ビジネスやプライベートなどのさまざまなシーンにおいて、快適な音響空間を実現する製品やサービスを提供している。PSZ技術をコアにしたNTTグループ初の音響ブランドとして「nwm」を立ち上げ、展開をしている。

「nwm」について

「nwm」は独自技術のPSZをコアにしたコンシューマー向け音響ブランドで、没入感ではなく、みんなとつながる気持ちよさを追求するために作られたブランド。PSZ技術を搭載すしたイヤホンは、耳を塞がない、そして音漏れも気にならない、まるでスピーカーが耳元にあるかのような感じの新しいタイプのイヤホンとして、耳スピーカー、いわゆる「耳スピ」シリーズを開発した。大好きな音も、大切な音ともつながれる「耳スピ」シリーズには、ワイヤレスモデルと有線モデルをラインアップしている。

今回試した製品について

「nwm(ヌーム) MBN001」は、ネックバンドワイヤレスの耳スピーカー、いわゆる「耳スピ」モデル。音漏れ抑制のPSZ技術搭載した耳を塞がないオープンイヤー型イヤホンで、オープンイヤー型の弱点でもある⾳漏れを最⼩限に抑えることで、オフィスにおいて オンライン会議に使用したり、静かな場所で好きな音楽を楽しんだりすることができる。
スピーカー部には、PSZ技術で最適化された直径12mmのドライバーを採用し、豊かな音色を担うカーボンファイバーダイヤフラムで、クリアな中高域、輪郭ある低域と、空間の広がりを感じるプレミアムサウンドを実現している。また、外音が自然に聴こえるため、 周囲の音や状況を認識できることから家事やテレワークなどで使用しても、家族やペット、宅配便の呼びかけにも気づくことができるうえ、イヤホンを着けたままでも自然に会話することも可能。
イヤーフックには、肌触りがソフトなナイロン素材を使用しており、軽量化したことにより耳に負担がかかりにくい仕様になっている。また、耳を押さえ付けないオープンイヤー型タイプなので、圧迫感もなく蒸れにくくストレスフリーで快適に使用できる。さらに、IPX5相当の防水性能を備えているので、雨や水しぶきなどがかかるような状況や、運動中の汗なども気にすることなく安心して使える。
対応するコーデックは、SBCと AAC 。通信方式はBluetooth5.3に準拠し、マルチポイントに対応しているので、パソコンとスマホなど、2台のデバイスと同時に接続することができる。連続再生時間は、最大20時間(音楽再生時)。なお、充電はUSB Type Cケーブルで行う。

実際に使ってみた!

環境に配慮されたエコタイプのパッケージ

パッケージは、再生紙で作られた、ペンケース形状の上蓋タイプ。手にすると環境に配慮されていることが感じ取れる。イヤホンもしっかり固定されパッケージに収まっている。このようなイヤホンのパッケージングはあまり見たことがないので、少し驚いたが、小さな製品においても、環境に配慮する時代なのだなと感じた。こういった取り組みを行なっている製品であることがユーザーにあまり伝わっていないのがもったいないように思える。                                         

‎同梱品は、クイックスタートガイド、セーフティガイド、充電用USB Type-Cケーブル、コードクリップとなっている

ユーザーの使い方を考慮したデザイン

スピーカー部はスクエア形状で、耳に被さる部分はシリコンで成形されている。この形状が絶妙で耳穴に向かってしっかりと音が届くようになっており、サラサラとした触り心地のイヤーフックとあわせて気持ちよくフィットする。デザイン面でも、オープンイヤー型の良さを引き出そうとしている様子が伺える。

身につけていてもさりげない、ダークブラウンカラー


カラーリングも本機の魅力の一つで、ダークブラウンとホワイトベージュの2色が用意されている。
やさしい色合いになっているので、ファッションのアクセントとしても使えそうだ。一般的にブラックやホワイトのカラーが多いイヤホンだけに新鮮に見える。

ケーブルもマグネットが組み込まれているスライダーで固定できるので、絡まないように配慮されているあたりもありがたいポイント。細かなところにも気を配るあたりは、ユーザーフレンドリーで好感が持てる。ネックバンドのケーブルはしなやかで、ナイロンで包まれていることともありキレイにまとまる。
ただ、左右独立型のイヤホンに慣れている人だと、ケーブルが首の後ろ側にまわるネックバンドスタイルに少し慣れる必要があるかもしれない。ただイヤホンが片方だけ外れて落としてしまったり、紛失してしまうような不安は少なくなるので私にとってはありがたいと思える部分だ。

スピーカー部はシリコンで形成されている
コードをまとめることができるスライダー

アプリは確実にインストールしておきたい

本機は、アプリと連動して使用することでイヤホン本来の良さを引き出せるため、使用する前にアプリをダウンロードすることをオススメする。アプリは無料でダウンロードすることができ、サウンドのイコライザー設定とボタン操作の確認などができる。なお、本機は動作ボタンのカスタマイズには対応していない。また、イコライジングのプリセット設定は5つ用意されており、いずれかを選択して聴くことができる。どのイコライジングでもすぐに効果は確認できるのがうれしいところで、曲を聴きながらの選択もOKだ。ただし、ユーザーが自由にイコライジングできないのが少し残念なところではあるが、この点については将来的にアップデートがあれば対応してくれるとうれしいところだ。

イコライジングのプリセット設定は5つあり、好みに合わせて使い分けすることがが可能

長時間の装着でも快適でストレスフリー

本機を装着すると、耳元にスピーカーをつり下げたような、オープンイヤー型独特のスタイルになる。このスタイルは思いのほか快適で、装着していることを忘れてしまうほど心地よい。これなら、長時間装着していてもカナル型のような耳穴への圧迫感がなく、蒸れも少ないから快適だと感じた。オープン型特有の「ながら聴き」にも対応するので、コンテンツを楽しみながらでも、周囲の音を聞き逃すこともなければ自然に会話もできる。ここが大きなメリットと言える。

耳を覆うようなスタイルで軽快な装着感

しっかりと低音から高音まで再生され、音楽を十分に楽しめる

ドライバーは直径12mmで、サウンドは中高域と低域をバランス良く鳴らしている印象。耳元でばんやり鳴る音を聴くというより、しっかりと耳へ運ばれた音を聴くという感じで、これなら音楽を{より一層}楽しめそうだ。音質について簡単な言葉で表現するなら、音楽を「聴き込む」ことには向かないが、音楽を楽しむことにはしっかり対応しているといえる。ただし、聴き込むことができないというわけではなく、「耳スピ」から流れる音楽は、しっかりと低音から高音まで再生されているから音楽を十分に楽しめる。
さすがにカナル型で聴くような低音域の再生は難しいが、アプリでイコライジングを好みの音質にあわせることができれば、本機に採用されている「PSZ」とあわせて、オープンイヤー型らしからぬ音質で「耳スピ」感覚を味わえる。
音漏れもオープンイヤー型スタイルでありながら、少ないように感じた。さすがに、音量を上げれば多少の音の漏れはあるが、実用音量レベルであれば問題なく使えそうだ。

「PSZ技術」ってなに?

ここで触れておきたいのが本機に採用されている「PSZ技術」で、耳を塞がずに、耳元のみに音を閉じ込めることを可能にする技術のこと。これは、出る音の波形(正相)にプラスとマイナスを反転した波形(逆相)を当てると、音波同士が打ち消しあって音をキャンセリングという作用することを応用し、特殊な再生装置で特定のエリアを限定して音を再生することを可能にする仕組みだ。本機では、このPSZを使用することによって、耳元に小さなカプセルに包まれたような音の空間を作り、耳をふさぐことなく周囲への音漏れを抑えることができている。だからこそ、本機では音漏れもより少なくなっているのだろうと想像できる。(PSZ技術図)

Bluetoothはマルチポイントにも対応している

Bluetoothは5.3に準拠し、マルチポイントに対応しているので、複数のデバイスに接続しながら音楽を聴いていても、スマートフォンに着信があればシームレスに切り替えが可能となっている。
接続は混雑する交差点や電車内で使用した場合でも、途切れることもなく問題なく使用することができた。また、通話時の使用でもキレイに声が伝わっていたので、コントロール部に設置されているマイクも普通に使用できる。
バッテリーは最大再生時間は20時間となっており、1日中ずっと音楽を聴き続けられるほどのロングライフだから、バッテリー切れを気にせずに使用できるのもうれしいポイントだった。

モノコト的まとめ

シンプルな外観ながら、このイヤホンはなかなかの実力派かも! 

「耳スピ」といわれるように、オープンイヤー型イヤホンは耳元にスピーカーをつり下げているかのようなタイプのイヤホンで、音楽を楽しむのには不向きな面があるのは否めないところだ。しかし、「ながら聴き」を目的で使用するならオープン型イヤホンを選ぶのはいい選択だろう。
これまで、オープンイヤー型のイヤホンといえば、どことなく頼りない音質だったりすることがあったが、このイヤホンは外観からは想像できない実力を秘めたモデルだといえる。アプリで音質のカスタマイズを行い、好みの音質にあわせることができればきっと気に入るはずだ。試聴する機会があればぜひトライして欲しい。
少し残念なところがあるとすれば、もう少し、手にした時の特別感の演出があれば・・・と思ったところくらい。
ネックバンドスタイルでしなやかなケーブルタイプが欲しいなら、「nwm MBN001」くらいしか見当たらない、と思えるほど私の好みにピッタリのイヤホンだった。オープンイヤー型が気になる方や「ながら聴き」でやんわりと音楽を楽しみたい人や、2本目のイヤホンとしてオープンイヤー型が欲しい人にはおススメできるモデルだと感じた。
このイヤホン、100点満点中85点といったところ。さらにイイ音に進化するかも!と期待が高まる、次期モデルが開発されるのが今から楽しみで仕方がない。

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