〈突撃ルポ〉外国人観光客にも人気の噂の場所に行ってみた 100台以上のレトロな自販機が今でも現役⁉

先日、外国人観光客に密かな人気のスポットとして、昔ながらの自販機が100台以上も並ぶある場所がテレビで紹介されていた。以前からYouTubeやSNSでもちらほらと見ていた場所なのだが、そこには1970年代から1980年代に活躍していた自販機がズラリと並んでいる。昭和生まれの方なら一度は目にしたことのある自販機。平成や令和生まれの方には、真新しくも感じる自販機の数々。自販機文化を築き上げてきた日本の歴史に触れてきた(おおげさすぎたか)ので、懐かしみながら、あるいは新たな発見として読んでいただければと思います。

目次

日本の自動販売機

みなさん、日本における自動販売機での年間売上額をご存じだろうか。一般社団法人全国清涼飲料連合によると、その額なんとおよそ5兆円にもなるそうだ。自動販売機が最も普及しているアメリカの年間売り上げ額よりも約1兆円も上回っているというのだから驚きだ。使用比率だけで見ると、世界一となっているらしい。

イメージ(出典:Pexels)

自動販売機(以降、自販機)の使用率が高い理由は、日本ならではの治安の良さが起因しているそうなのだが、ではなぜ、今外国人観光客に1970年代から1980年代の日本の自販機が人気なのだろうか。その理由を次の章で考察してみよう。

その前に日本の自販機の歴史について

日本における自販機の歴史は、1904年に発明家の俵谷高七氏による「自動郵便切手葉書売下機」という切手と葉書の自動販売を行う機械の登場から。この自販機、切手と葉書の自動販売以外にもポスト機能も兼ね備えたアイデア製品だったのだとか。1962年にはアメリカより本格的な飲料自販機の導入が始まり、1974年には温かいものと冷たいものを1台の自販機で販売することができるモデルが登場(出典:一般社団法人 全国清涼飲料連合)。すると自販機の普及台数は瞬く間に増えていくことになる。もちろん温め機能に特化したモデルもあり、飲料に限らずさまざまな自販機が登場することになった。昭和生まれの方なら一度は食べたことのあるハンバーガーの自販機やそばの自販機はこの辺り(1972~1980年代)に登場したモデルとなる。

しかし、その後ハンバーガーの自販機やそばやうどんの自販機がいつの間にか消えてしまっていくことになるのだが、その理由としてコンビニエンスストア(以降コンビニ)の台頭あるいはファストフードの登場によるものとされている。確かに24時間オープンしているコンビニは、いろいろなモノが手軽に手に入るし、温かい飲み物や食べ物、冷たいドリンクやアイスなど、これまで、自販機で購入していたものが、種類も豊富で手軽に手に入るようになった。ファストフードでは、出来上がりのハンバーガーを食べることができるわけで、世の中の流れとしては自販機からコンビニあるいはファストフードを利用することは自然の流れだったのだろう。結果的にハンバーガーやそば&うどんの自販機を目にしなくなったと考えられる。

外国人観光客に日本の古い自販機が人気の理由

さて、話を戻して、なぜ1970年代から1980年代の日本の自販機が外国人観光客に人気なのか、についてだが、それは販売されている種類の豊富さや、日本のレトロな機器に興味のある人など、さまざまだと思われるが、中には温かい食べ物が出てくることに珍しさを感じている人も居るとか。確かに、私も今回体験して驚かされた自販機があった。それはラーメンの販売機だったのだが、購入金額を入れるとわずかな時間で熱々のラーメンが提供される。まさかこんなものが自販機から出てくるとは思いもよらず、日本人である私が驚くのだから、海外の方だったらもっと驚くのかもしれない。そんなユニークな1970年代から1980年代の自販機が100台以上も並んでいるのだから、これはもうテーマパークといっても過言ではない。秋葉原と同じくらい、リアルな日本の文化を体験できる場所として、人気があるのではないだろうか。

実際に購入してみた

ここからは、実際にずらりと並んでいる自販機の中から、購入してみたものについて、お伝えしたいと思う。まずは、設置されている自販機を一通り見ることから始めてみた。設置されている場所は、神奈川県相模原市の「中古タイヤ市場 相模原店」の敷地内にある。タイヤ交換の空いた時間に楽しんでもらえたらという思いから設置されたらしく、タイヤショップの店舗にも、昔懐かしのゲーム機器が並んでいた。食べ物関連の自販機は、表通りと中通りと2列に並んでおり、約50~60メートルの間に50台づつ並んでいるといったところだ。まずその数に圧巻なのだが、端から見始めてみると、まぁ、どの自販機も懐かしく思えるものばかりだ。うどん&そばの自販機、ラーメン、ハンバーガー、びんの炭酸飲料、おみくじ、などなど。驚くのは、どの機械もきっちり整備されており、ちゃんと稼働しているということ。万が一、動かないようなことがあっても、タイヤショップの営業時間(10時~19時)内であれば、対応してくれるから、安心だ。

表通りに50~60メートルに渡って、50台以上もの自販機がズラリと並ぶ
中通りにも50台近くの自販機が並ぶ

まず手始めに購入してみたのはトーストサンド!

1周してみて、まず気になったのが、「トーストサンド」という自販機だった。この機械、お金を投入して購入したいもののボタンを押したらアルミ箔で包まれたトーストサンドが、約40秒ほどで下のトレーに落ちてくるというもの。

実際に出てきた物を手にしてみると、とても温かい。サンドイッチを包んでいるアルミ箔を開けてみると、恐らく人の手で焼いたであろうパンが出てくる。選べる種類は2種類。ハムとチーズを挟んだ「ハムチーズトースト」と粒あんとバターを挟んだ「あんバタートースト」。私がセレクトしたのは、あんバタートーストの方で、このB級フード感がレトロ自販機と相まってたまらなくいい雰囲気を醸し出していた。

アルミ箔に包まれたトーストサンド
トーストされたであろう焦げ目がおいしそう
しっかりと粒あんが敷き詰められている

実は、私、このサンドイッチ自販機は、今回初めて見たうえ購入してみたのだが、懐かしいというよりは、どんなものが出てくるのか、ということに好奇心で購入してみた。せっかく購入したので、一応、食レポをしてみることに。トーストされたパンは、温める際にアルミ箔内で水蒸気が出るためなのか、トーストしてる割にはサクッとした食感はなく、しっとりとした食感になっている(決して"べちゃ"ではない)。中身は、粒あんがしっかりと敷き詰められており、バターと相まって、まぁまぁおいしい(正直、すっごくおいしいわけではないが、普通においしい)。レトロ自販機を前にして食べていると、初めて食べたにも関わらず、なんだか懐かしく思えてしまうは不思議だった。

次に購入したのはシャーシュー麺

次に購入してみたのは、ラーメンの自販機だ。これは、ラーメンとチャーシュー麺の2品からセレクト可能となっているが、今回は、ラーメンが売り切れになっていたので、おのずとチャーシュー麺の購入になった。早速、400円を投入して待つこと約30秒。出てきたラーメンはしっかり熱々で提供される。熱々のうちに早速食べてみることに。食べてまず驚いたのは、のっかっている7枚ほどのチャーシューがとても柔らかくおいしいこと。麺はやや太麺で、味は醤油味、シンプルながら、基本をしっかり押さえているところが素晴らしい。きっちり汁までしっかり飲み干したら、う~ん完食!なんとも癖になりそうなおいしさだった。

6~7枚のチャーシューが柔らかくておいしい
麺はコシのあるやや太麺で食べ甲斐がある

なんだかんだでお腹いっぱい…

他にもいろいろと試してみたかったのだが、例えばお茶漬けの自販機、ハンバーガーの自販機、うどんの自販機、ポップコーンの自販機などなど。どれも食べてみたいものばかりだったのだが、あんバターのサンドイッチを食べて、ラーメンを食べた時点で、結構お腹いっぱいになってしまったので、次回以降にまた来て食べてみたいと思う。

懐かしのハンバーガーの自販機
うどんやお茶漬けの自販機も
紙パックジュースの自販機

オーナーは隣接の「中古タイヤ市場 相模原店」

レトロ自販機の聖地として、多くの人が利用しているこの場所は、前述のとおり、「中古タイヤ市場 相模原店」の敷地内に設置されている。ショップのオーナーが来店するお客に楽しんでもらうために設置したのが始まりだったとか。すべての自販機はレストアされており現役としてうごくものばかり。古い機械なのでお金を入れるときは、ゆっくりと確実に入れるように但し書きがされている機械もあった。隣の中古タイヤショップに足を運ぶと、これからレストアされる自販機がいくつか並んでいた。また、タイヤショップの方には、懐かしのゲーム機なども設置されているから、気になる人はのぞ居見ていてはいかがだろうか。

まさかテーブルゲーム機があるとは、驚き!
タイムスリップしたかのような空間だ
温泉旅館に昔あったようなゲーム機も並ぶ

ちなみに、店名が「中古タイヤ市場」というだけあって、中古のタイヤのホイールからタイヤが所狭しと並んでいる。こちらでは、タイヤの交換作業から、ホイールの修理、中古タイヤの買取まで、タイヤに関することを幅広く行っているので、興味のある方はのぞいてみることをオススメする。

自販機が並んでいる隣に「中古タイヤ市場」がある
中古のタイヤやホイールがズラリと並ぶ

まとめ

今回、噂の場所に行ってみたのだが、まず圧倒されるのが自販機の数だった。あれだけ自販機が立ち並んでいる光景は、今まで見たことがない。また、どの自販機も1970年代から1980年代に活躍したであろう自販機ばかりだった。しかもどの自販機も、隣の中古タイヤショップのオーナー自らレストアしているということで、ものの見事に現役として稼働していることに驚かされた。(これこそSDGsじゃない?と思えるほど。)

現代の自販機も、昔と変わらずおもしろい自販機が存在する。冷凍餃子やラーメンの販売機も存在するし、実店舗の目の前で販売するサンドウィッチの自販機もある。出汁の販売機もあれば、生絞りのオレンジジュースが飲める自販機が存在するなど多種多様になっている。コンビニやファストフードの台頭によって自販機の設置台数自体はピーク時に比べて減っているものの、個性的な自販機はどの時代にも存在するものなのだと改めて思った。日本ならではの自販機のあり方は、日本の治安の良さを象徴しているものであって、世界に誇れるものだ!と私は思うのだがいかがだろうか…。

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