バイクのユーザー車検は難しい?予約から、必要書類までユーザー車検の費用ってどのくらいかかる?を、実践して検証する!

251㏄以上のバイクには、2年に1度(新車の場合は初回3年)必要なイベント、「車検」。整備店に依頼すれば、点検も含めて数日で終わる。プロに頼むのだから、多少の費用がかかるのは仕方がない。日頃からバイクに関わり、自分で整備やメンテナンスを行っているならば、ユーザー車検を体験してイベントに関わるのもいいの機会だ。・・・ということで自分でトライ!受けてまいりました、ユーザー車検!

目次

「車検」とは何のこと?どうして受ける必要があるの?

車検とは、正式には「自動車検査登録制度」といい、自動車や排気量が251㏄以上の自動二輪(オートバイ)に対して、道路運送車両としての保安基準に適合しているかを検査及び自動車の所有権を公証するために登録する制度のこと。検査に合格すれば、自動車検査登録を更新することができ、「車検証」という証明書を受け取ることができる。一般的には、整備店が車検を代理で受ける「ディーラー車検」と個人で車検を受ける「ユーザー車検」の2つがある。ディーラー車検は、整備店などが「車検に適合するための整備」と、法定点検である「12ヶ月点検」を行い、検査をユーザーに代わって受ける方法。一方「ユーザー車検」は、車検に必要な「12ヶ月点検」は法定点検ではあるものの、個人でも実施できるので、ユーザー自身が行う。その後、「点検整備記録書」を作成し、ユーザー自身が運輸支局に車両を持ち込んで検査を受ける方法だ。車検は、販売店や整備店で行う整備のイメージが強いかもしれないが、車検と整備は直接の関わりはない。ユーザー車検は「整備と12ヶ月点検をユーザーが行い、運輸支局で車両の検査を受けて車検をとる」ということになる。

ここからスタート!ユーザー車検を受ける検査予約からはじめる

好きなときに検査を受けたいところだが、そうはいかないのが車検の手続き。運輸支局の業務や、検査レーンの保守点検や都合で検査レーンが休止している場合もある。車検のタイミングに合わせて「自動車検査インターネット予約システム」で、事前に検査予約をとっておこう。
はじめての場合は、アカウント登録を行ってから予約をする。すでに、アカウントがある場合は、ログインして予約をすればよい。自分が車検を受けたい運輸支局と時間を選ぶことができる。ただし直前になると車両に不備があった場合、整備が間に合わないといったリスクもあるので、自身の都合にあわせて余裕をもって予約することをオススメする。無事に予約がとれたら、予約番号が発行される。当日、予約番号が必要になるので控えておこう。
ちなみに、車検は満了日前ならばいつでも受けられるが、ほとんどの場合は、1ヶ月前から満了日までに受けるのが一般的なところ。

自動車検査インターネット予約システム

車検に必要な書類を準備する

ユーザー車検の予約がとれたら、必要な書類の準備に取りかかる。継続検査申請書は、当日運輸支局で記入し用意することができる。今回の車検を受けるにあたり、事前に書類を入手できたのであらかじめ作成し持参することにした。ユーザー車検を受けるなら、準備には余裕があったほうがいい。

①自動車検査証(車検証)、②軽自動車納税証明書、③自動車損害賠償責任保険証明書(現在の自賠責保険証明書)は手元にあるものを用意しておく。
①「車検証」は、車両に保管されていることがほとんどだろう。
②「軽自動車納税証明書」は、地方自治体へ支払済控(領収印があり、有効期限内のもの)のこと。もし、紛失している場合は、2015年4月からは車検時の提示が原則不要になってはいるものの、最寄りの自動車税事務所や都道府県、市区町村の窓口で交付してもらうと安心できる。当日、窓口では必要書類として確認されていたことも記しておく。ユーザー車検なので、不安な箇所は少なくしておきたい。
③「現在の自賠責保険証明書」は、現在の車検証といっしょに保管されていることが多い。

①車検証から⑤定期点検整備記録簿まで用意して確認。⑥新しい自賠責保険は検査当日に用意することにした

必要な継続検査申請書類を作成する

④継続検査申請書類、「継続検査申請書」「自動車検査票1」「自動車重量税納付書」の3点は、運輸支局で入手可能なので、検査当日にも作成できる。運輸支局では、記入見本も用意されているので、あわてず作成すればよい。記入がわからない箇所は、窓口で聞けば教えてもらえる。記入の際、書類によっては、鉛筆とボールペンを使い分ける箇所もあるから注意が必要だ。継続検査申請書類のひとつ「継続検査申請書」は、国土交通省のWEBサイト(下記参照)から必要な書類(専用3号様式)を選んでダウンロードすることも可能だ。
⑤定期点検整備記録簿は、車検前に行った整備の記録書類。今回の場合は、自身で行った整備や点検の記録となる。整備は、車検後も可能となっているが、安全面に配慮して「キチンと整備・点検を行っています」ということをユーザー車検の心得として車検前に実行しておきたい。
⑥「検査後の自動車損害賠償責任保険証明書(新しい自賠責保険証明書)」は当日、運輸支局内のナンバーセンターで手続きが可能。もちろん、いつものバイクショップで用意しておいても問題はない。

ユーザー車検当日の手順

用意した書類を持って、予約をした時間に合わせて運輸支局へ向かう。
④継続検査申請書類が用意できているならば、敷地内のナンバーセンターで自動車重量税5000円、車検検査費用としての1800円の印紙を購入して書類に貼付する。④を当日に作成する場合は、仕上げたら印紙を購入すればよい。⑥「新しい自賠責保険証明書」が準備できていない場合はナンバーセンターで手続きができる。今回の場合、新しい自賠責保険料は8760円(24ヶ月)だった。
準備した書類は、検査の際、検査官に提出するので、A4サイズのバインダーなどに書類をまとめておき、すぐにとり出せるようにしておけばスムーズだ。すべての書類がすべて揃ったところで、ユーザー車検の受付窓口で必要書類に予約番号を添えて、車検受付を行う。

東京運輸支局の案内図には、手続きの順序や受付場所も説明されている
自動車検査票1に貼付した車検検査費用印紙
自動車重量税納付書に貼付した重量税印紙
敷地内にあるナンバーセンター品川

車両の検査を開始する!

検査場内の撮影は禁止されているので、検査に関連する画像は掲載できない。イメージしながらついてきてほしい。

検査レーン前の目視検査

検査レーンに入る前に、検査官による目視検査がある。これらは順次、検査官に指示されるので、それに従って操作を行えば問題ない。フレーム番号、エンジン番号は車種によって表示場所が見つけられない場合もあるので、刻印箇所がわかる場合、伝えてあげれば親切。走行距離は、検査に入るときまでの走行距離数なので、メーターを読み取り(下2桁は切り捨て)記入する。目視検査の結果が、自動車検査票1に記録される。

いよいよ、検査レーンに入っての検査がはじまる!

検査レーンに入っての検査

排出ガスの検査は、年式によっ検査、基準数値が異なるが、今回の車両は規制前なので検査はない。近接排気騒音の検査は、車両にあわせてマイクを指定高、距離に設置し、いわゆるレッドゾーンまでの半分くらいまでエンジン回転をあげて排気音量を測定する。
検査レーンで、検査官が「わかります?」とたずねてきたのだが、ここで聞かれたのは、検査レーンにある測定機器の準備のためのボタンを押せますか?という意味。「わからない」とか「自信がない」と伝えれば、検査官が測定タイプを確認し、ポチポチとボタンを押して検査準備してくれる。検査にも付き添ってくれるし、操作に不安はあるかもしれないが、失敗したとしても落胆することはない。

スピードメーター計測・後軸、ライト1灯で検査開始!

前後ブレーキとスピードメーターの検査

スルスルとバイクを前に移動する。ここから足元のスイッチを踏みながら検査が始まる。「左足でスイッチを踏んでください」と検査官が声かけしてくれたので、スイッチを踏む。検査のアナウンスが流れ、検査ローラーへ前タイヤを乗せて前ブレーキの検査開始。検査ローラーがまわるので、アナウンスにあわせて「前ブレーキ」を作動させる。「前ブレーキ」が効くとグググッと前タイヤが軽くスリップするのでバランスを崩さないように注意する。ブレーキが効いた時に、軽くスリップするので注意が必要だ。
「前ブレーキ」が合格すれば、さらに前へ移動して「スピードメーター」の検査の準備。後タイヤを検査ローラーに乗せるために前方へ移動する。検査ローラーに後タイヤが乗ったところで足元のスイッチを踏んで検査がはじまる。そのまま、検査ローラーにあわせて、後タイヤが回転するようギヤをニュートラルに入れ待機。アナウンスが流れるので、40km/hになったら足元のスイッチをはなす。
「スピードメーター」が合格の場合は、足元のスイッチを踏み直し、そのまま「後ブレーキ」の検査に移る。「前ブレーキ」と同様、検査ローラーがまわるので、アナウンスにあわせて「後ブレーキ」を作動させる。問題がなければ、そのままライトの光軸を検査する準備に取り掛かる。

ライトの光軸・光量検査

前方の光軸検査位置へバイクを移動し、慣れてきた足元スイッチを踏んで計測開始。今回は、光軸が動く大きな整備もなく、事前調整なしで挑んだので少々不安。バイクの前に計測器が現れて測定をはじめる。軽くエンジン回転をあげ、光量を増やす。不安をよそに、すんなりと合格。これにて検査レーンでの検査終了。検査にかかった時間は5分程度だった。

検査結果を印字して終了

打刻機に自動車検査票1を通し、検査結果を印字してから検査場内の「総合判定室」へ向かう。事前準備した書類をまとめて提出し、「最終合格印」を押してもらえば、検査場での車両検査終了。

車両検査に合格すれば、支局庁舎に戻って車検証の交付手続きをするだけだ

検査が不合格になったらどうする?

検査が不合格になった場合は、不合格になった部分を除いて、合格のチェックが入った書類が返却される。その日のうちなら、2回までの再検査を受けることができる。自分で直すことができない項目(光軸・光量など)で問題が出た場合は、運輸支局近くの整備工場などで調整してもらい、当日の再検査で対応してもらえる。ただし、整備が必要で、日を改める場合は、不合格になった部分の再検査だけだが、検査費用の印紙代(1,800円)を購入して検査をする必要がある。

合格すれば、新しい車検証とプレートに貼るシールが発行される

検査場での車両検査が終了したら、支局庁舎へ戻り「継続検査受付(持込)」窓口に行って、準備した書類(印紙を貼った自動車検査票1、重量税納付書と車検証、継続検査申請書)を出せば、新しい車検証とプレートに貼るシールが発行されるのを待つだけとなる。5分もしないうちに車検証とシールが発行された。

ユーザー車検が完了し、コンパクトサイズの新しい車検証が交付された

まとめ

費用は1万5560円、スムーズに終わった「ユーザー車検」だった

今回のユーザー車検は、書類や検査にも問題がなく、時間や手間も思っているほどかからずスムーズに終了した。車検にかかった費用は、自動車重量税5000円、検査費用1800円、自賠責保険は8760円(24ヶ月)の合計1万5560円だった。日頃から自分でメンテナンスを行っている方や、もっとバイクに関わりたいと思っている方には、ユーザー車検はチャレンジしてみるイベントではないかと思う。グッときたのは、自分の手続きで車検を楽しめたことだ。
一方で、安くてお得!とか、費用を抑えたい!だけという方にはおすすめできないのも事実。車検は、ただ保安基準の適合性しか検査してないともいえるからだ。公道で安全にバイクに乗るためには、定期点検や適切にメンテナンスを行うことが必要で大切になる。安易にユーザー車検を選択すると、安全面で問題があることも理解しておいてほしい。

*すべての方に、ユーザー車検を勧める記事ではありません。検査の合否については一切の責任を負いかねます。
*車両状態によっては、車検手続きを整備店に依頼したほうがいい場合があります。整備に不安な方は、必ず整備士に点検・整備してもらうことをお勧めします。
*費用の金額は、2023年12月時点のもので、予告なく変更される場合があります。

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