[レビュー]今度は「クルトガ KSモデル」を使ってみた!握りやすくて疲れ知らず、ペン先のブレも解消!?

このレビュー記事では「クルトガ KSモデル」が、新しいスタンダードモデルとしてどのように進化したのか、新旧モデルを比較しながらレビューしていきたいと思う。両者の違いがどのようになっているかの参考になればと思う。

目次

クルトガとは?

クルトガは、書くたびに芯が回転することで、常に芯をトガらせた状態で筆記ができる画期的なシャープペンシル。2008年にクルトガの初代モデルである「クルトガ スタンダードモデル」が発売され、そのコンセプトが好評を得てベストセラーになる。その後、さまざまなモデルを展開、いまやシリーズ累計1億本を突破、シャープペンシルの売り上げにおいて、ナンバーワンの座を15年間も連続で獲得し続けている人気のシリーズだ。なお、クルトガエンジンの詳しい仕組みについては「クルトガ メタル レビュー記事」にて紹介しているので、そちらをご参照いただきたい。

クルトガ KSモデルの特徴

今回レビューする「クルトガ KSモデル」は、「クルトガ」発売15周年の2023年2月に登場したシャープペンシル。本体の価格は605円(税込)で、これからのスタンダードモデルとして開発され、KSのサブネームが与えられている。KSは「KURUTOGA STANDARD」の頭文字のKとSの略で、それぞれの頭文字を取って付けたもの。これまでの「クルトガ スタンダードモデルに変わり、新たなスタンダードモデルとなるよう、ラインアップに加えられている。

クルトガ KSモデルは、芯径0.3mmと0.5mmをラインナップ

「クルトガ KSモデル」は、芯径が0.3mm と 0.5mm の2種類の芯径で展開しており、軸色は、0.3mmが、ブルー、ブラック、アイスブルー、ライトグレー、コーラルピンク、ハーブグリーンの6色を、0.5mmが、ブルー、 ネイビー、ブラック、アイスブルー、ライトグレー、クリームイエロー、コーラルピンク、ハーブグリーンの8色をそれぞれ展開している。このほかにも、時期により限定カラーも用意されるなど、豊富なカラー展開も特徴の一つといえる。
軸色に採用されているカラーの印象は、0.3mm、0.5mmモデルともに、ブルー、ネイビーは、光沢がありシャープペンシルらしい色合い。ブラックは、しっとりとした落ち着いた雰囲気、そのほかは、トレンドを感じさせるくすみを含んだグレイッシュな色合いをベースにしており、男女問わずに使用できるような淡いカラーといった印象で、すべての色をそろえたくなるほどカラフルだ。

デザインは、シンプルでどのような使用シーンでも違和感なく使うことができそうだ。ペン軸はポリカーボネート、グリップはエラストマー素材が採用されており、かなり軽い印象だ。エラストマーを使用したグリップは、触り心地がしっとりとしており、しっかりと握ることができる。それに加えて、グリップはペン先に向かって太くなるテーパー加工がされている。筆記時に指が先端方向へズレにくい形状にすることで、さらなる握りやすさを追求しているようだ。ちなみに、エラストマーとは、樹脂系でラバーのような弾性を持つ素材で、同社の「ユニボール ワン」などのグリップにも採用されている素材だ。

クルトガの心臓部ともいえる”クルトガエンジン”は、従来モデルでは先端側に配置されていたものを、新しいモデルでは中央側に配置されており、これにより、芯が回転している様子が伺える”窓”も先端から中央側に移設している。窓から見えるカラーは0.3mmがイエロー、0.5mmは オレンジに設定されている。

クリップも軸と同様にポリカーボネイトで作られ、正面中央にスリットが入れられたデザインで、立体感が感じられる。ノックカバーの天部には、クルトガのロゴが刻まれ、つやの抑えられた仕上げとなっている。ノックキャップを取り外すと、ピンなしの消しゴムが現れ、消しゴムを外すことで芯を補充することができる。

ックキャップにクルトガのロゴが刻まれている
本体中央部の窓からはクルトガエンジンの動きが見える

グリップ部分を取り外してペンの内部にアクセスすると、内部には金属の口金がついた白い芯ケースが収められている。ペン本体の上部に組み込まれたクルトガエンジンは取り外すことができない仕様のようだ。
芯づまりのトラブルの場合は、金属の口金(スライダー)を取り外すことでメンテナンスを行うことができる。なお、本体口金はポリカーボネイトでつくられており、グリップと一体化した段差のある形状となっている。
全体的の仕上がりには高級感は少ないものの、日常で使用するシャープペンシルとしては、よくできている。

グリップは、本体から取り外しが可能。クルトガエンジンは取り出すことはできない

新旧スタンダードモデルを比較

今回「クルトガ KSモデル」(以下、新型モデル)が登場したことで 「クルトガ スタンダードモデル」(以下、既存モデル)は生産終了になってしまうのかと思いきや、販売は引き続き行われているので、新旧のスタンダードモデルを購入することができる。価格は、新型モデルが605円、 既存モデルは495円(いずれも税込)となっており、110円の価格差はあるものの、長期間使用するならほとんど気にならない価格差だといえよう。
デザインは、一見で異なることが見て取れる。既存モデルはクルトガエンジンを見せることを優先し、スケルトンの軸を採用しているのが特徴。一方で、新型モデルはクルトガエンジンをあえて見せることなく、デザインされているのが特徴だといえる。ただし、クルトガエンジンの窓は残され、クルトガのアイデンティティはしっかり引き継がれている。既存モデルは機能を主張するデザイン、新型モデルのまとまり感のあるデザイン、どちらのデザインも好みで選べるようになっているところが、クルトガ好きにはうれしいところだ。

全長は、 既存モデルが142.5mm、新型モデルは145mmとなっており、 既存モデルより2.5mmほど全長が長くなっている。さらに重心位置を調べると、既存モデルは先端から72mm、新型モデルも72mmと変わらず。既存モデルのグリップ直径は10.3mm、新型モデルの直径は太いところを計測すると11.2mm、既存モデルより約1ミリ大きくなってるので、少しだけ太くなったグリップだといえる。グリップの素材は、既存モデルはプラスチックグリップ、新型モデルはエラストマーグリップとなっているので、グリップ力は新型モデルの方が圧倒的に高いといえるだろう。

一見で異なるデザイン。新旧スタンダードモデルはクリップの形状も異なっている

重量は、既存モデルが9.8g、新型モデルが11.2gとなっており、1.4gほど新型モデルの重量が増えているが、シャープペンシルとしては、軽めの仕上がりだ。

既存モデルではペン先にあったクルトガエンジンは、新型モデルでは軸中心部へ搭載位置が変更されており、それに合わせて、窓位置も変更されていることは抑えておきたいポイントだ。芯の回転角度は、どちらも40タッチで芯が1回転となっているので、どちらも回転角度は9°/1タッチで、トガり具合は新旧ともに変わりはない。ノック音は既存モデルはカチカチとやや高い音質、新型モデルはパチパチと響くややこもった音質。

クルトガ KSモデルのガタつきはどうなっている?

やはり、気になるポイントは、新型モデルのガタ付き具合がどの程度になっているというところだろうか。そのあたりをチェックすることにしよう。

まず、全体に感じたことは、ペン先の剛性感が高まっていることだ。上下方向の沈みこみも軽減され、左右方向のガタ付きも若干ブレが生じる程度で、ペン先のブレはかなり軽減されているといった印象だ。
既存モデルでは、上下方向への沈みこみ、左右方向へのブレの多さが気になった。なにより、新型モデルと比べるとペン先の剛性感が低く感じられるので、筆圧を高めにした使用では、よりペン先がズレていると感じたのかもしれない。よく見ると、口金とペン軸の素材も新旧では異なっており、既存モデルは口金とペン先は金属で、その間に樹脂製パーツが入っている。一方、新型モデルは口金がABS、ペン先は金属製となっている。口金とペン先のクリアランス(隙間)も、新旧では異なっており、新型モデルは、クリアランスが狭く作られている。新型モデルのABSで作られた口金とペン先のクリアランスを狭くした効果は絶大で、剛性感を高めながら、ガタ付き軽減に大きな影響を及ぼしていると想像できる。

クルトガ KSモデルで書いてみる

ガタつきはかなり小さく、ほとんど感じないレベルになっていて、書き心地はカツカツしない柔らかい印象だ。大きな変更点である、エラストラマー素材を使用したグリップの採用は、握りやすくグリップ感を向上させており、長時間の使用でも書くことに集中できそうだ。軽量な本体だが、重量配分のバランスがよく、書き味も軽快でスラスラとペンが進む。先端のガイドパイプは約3mmとなっているので、定規を使用して線を引くような使い方でも特に問題はなさそうだ。
既存モデルではちょっと硬い、ダイレクト感のある書き味だったものが、新型モデルではしっとりとした柔らかさを感じる書き味になっていた。同社のジェットストリーム4&1のシャープペンシルで書いているときに近い感覚だ。筆者の書き方では、ノイズはさほど気にならなかったが、書き方によってはノイズが気になる場合もあるかもしれない。
やはり、クルトガメタルのような高級シャープペンシルと比較すると、新型モデルであっても書き心地では劣る面もあるが、日常に使用するシャープペンシルと考えれば、ガタつきが少なくなった新型のクルトガは、日常使いには十分な満足感を得ることができるだろう。

クルトガ KSモデルの気になったところ

気になるところがあるとすれば、グリップに汚れがつきやすいという点だろうか。ペン軸がブルー、ネイビー、ブラックの濃色モデルでは、グリップがブラックなのでさほど気にはならないが、淡いカラーのモデルでは、ペン軸と同色のグリップとなっているので長期間使用するうちに汚れてくることは否めないだろう。キレイにしておく対策としては、メラミンスポンジなどを使用して汚れを取り除くように軽くこするなどのクリーニングが必要なのかもしれない。ただ、この作業は自己責任になるので、あくまでも汚れが気になるならば、という話だが。

もうひとつは、クルトガ KSモデル自体は、完成されたデザインではあるものの、やはり、クルトガエンジンが見えるようにして欲しかったという点だ。回転するギアが機能として少しだけでも見えるようになっていれば、クルトガらしさが、より伝わったように思えてならない。ぜひ次期モデルでは機能を見せる仕様で考えてほしいところだ。

まとめ

ブレがほぼ解消された新たなスタンダードモデルが仲間入り

クルトガ KSモデルは、柔らかな書き味で、全体のデザイン、グリップの太さや形状、素材など、持ちやすく書きやすいバランスのいいシャープペンシルに仕上がっていると感じた。なにより、ブレと沈み込みが少なくなった新クルトガエンジンは、日常使いにおいて筆記に集中したい場面では心強い味方になってくれる、オススメできる一本といえる。

「クルトガ スタンダードモデル」のスケルトン軸から見える、クルトガエンジンは、効果や仕組みを理解できるという楽しみ方があった。当時、機能を見せるというデザインの採用は、画期的でクルトガの知名度を一気に高める画期的なアイデアだったと思っている。ペン先のブレより、トガり続ける芯に驚いたものだ。今見ても文房具好きには最高のアイテムだ。あれから15年の歳月を経て発売された「クルトガ KSモデル」は、ペン先のブレを解消し、トガりつづけながら書くことへの進化が感じられる。そして、クルトガエンジンをあえて隠すことで、新しくデザインされた新世代のクルトガとして生まれ変わった。ペン先のブレを解消し、トガりつづけながら書くことにこだわるシャープペンシルを作りたいという思いが伝わってくる。そのDNAは「クルトガ メタル」「クルトガ ダイブ」へ、しっかりと受け継がれているといえるだろう。
どちらのスタンダードモデルもそれぞれの特徴があり、どちらかを選ぶとなれば迷うところだが、デザインやカラー、書きやすさ、自分にあった1本を見つけて欲しい。どちらにしても、まわってトガり続けることには変わりはない。クルトガのさらなる魅力に興味をもっていただければうれしい限りだ。

●三菱鉛筆公式サイト:「KURUTOGA KSモデル」製品紹介ページ
参考●MONOCOTO「クルトガ メタル」レビュー記事

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